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省エネ基準適合住宅と施工基準

省エネ基準適合住宅と施工基準

今回のコラムは以下より引用しています。
国土交通省監修「木造戸建住宅の仕様基準ガイドブック省エネ基準編2022」


仕様基準と施工基準

省エネ住宅をつくるためには、断熱材や開口部、設備機器の仕様を省エネ基準に適合させることも大切ですが、同時に、どのように施工するかということも大切です。

今回は、主な施工上の注意点についてのお話しです。
最後までお付き合い下さい。


①断熱層の連続

断熱構造とする屋根・天井・壁・開口部・床・基礎の部分をすっぽりと途切れなく断熱する必要があります。

取合い部の断熱材が連続していなかったり断熱材に隙間や不均一なところがあると、そこから熱が逃げ、結露が発生する危険性もあります。

グラスウールなどの断熱建材は、関東間の間柱ピッチ455ミリにぴったり合うように造られています。
中間間やメーターモジュールにも適合する規格もありますが、種類が少なく在庫がない場合もあるので注意が必要です。
関東間の断熱材では、間柱との間に隙間ができます。
逆に、幅の広い断熱材を無理して押し込むと、多少の隙間があるときよりも断熱効果が激減します。

壁の断熱材は外壁側に押し込んではいけません。
室内側は間柱の表面に揃え、外側に空気層を設けます。


②気流止めの設置

木造軸組構法は、壁(外壁、間仕切り壁)と床、壁と天井の取合い部などに隙間が生じやすい構造となっています。
床下の冷気が壁に入り込むことを防ぐために、壁の上下の気流止めを施工することが大切です。

根太レス工法では、構造用合板を土台に直接かぶせて敷き込むので、床の気流止は必要ありません。
天井の気流止は、床で気流止を行った場合でも、屋根からの逆流を防ぐために必要です。



③防湿層の設置

内部結露を防ぐためには、断熱材の中に水蒸気を侵入させないことが大切です。
そのためには、繊維系断熱材など透湿性の高い(水蒸気を通しやすい)材料を使用する場合は、断熱材の室内側に防湿フィルム等を用いて防湿層を設ける必要があります。

防湿層も断熱層と同様に連続させることが大切です。
断熱建材には室内側にフイルムの耳があります。間柱の表面で重ねると連続します。

ここで問題となるのが、室内側のボードを張るための下地胴縁組です。
室内空間を広くするために、間柱を胴縁分切り欠き柱面に揃えて納めます。このため、断熱材の耳や本体を切り欠かないようにする必要があります。

さらに、断熱層の外側に通気層を設ける場合は、外気が壁体内に侵入しないように、断熱層と通気層の間に防風材を施工することが望ましいです。


閑話休題

省エネ基準適合住宅とするには、施工での意識改革が重要となります。
気密と断熱の意識が薄く、漫然と作業していることも多いようです。

現場管理者と職人ともに、手間を惜しまない真摯な向き合いが必要となります。会社の大小ではなく、現場の質の問題です。


コラムでは読者の興味が薄れないようにするため、多くのことを詳細に述べることはできません。
施工上の注意事項は、当然多岐ににわたりますが、主要なものを簡潔に紹介しています。


一般のお客様が、ネット情報を断片的に切り取り、施工会社を糾弾することは非常に危険です。
現場で気づいたこと、疑問に感じたことは、決めつけずけんか腰にならず、そして職人さんに直接話してはいけません。
現場の責任者などと、冷静に話し合うことが大切です。

このコラムが、皆様の一助となりますように。


閑話に最後までのお付き合い、ありがとうございました。


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